DJWarpの音楽の旅

テクノ中心にDJ,DTM,プラグインなど音楽のアウトプット

リミックスパックの作り方

リミックス

テクノの世界の話です。

テクノのリリースにはリミックスが収録されている事が多いです。

リミックスはEPやアルバムの幅を広げたり、リミキサーの名前で注目が集まったりと、相乗効果があるので多くのリリースで採用されています。

同じ素材の一部を別の料理人が料理するとこんなにも違う料理に!といった面白さもあり、オリジナルの部分を探したり違いを聴くのもとても楽しいのです。

 

一方、リミックスをする側からすると、どのようにオリジナル曲を解釈し、どこまでリミキサーの個性をだすのか?という部分が問題になってきます。

どの部分を使うのか?とか、どれだけの量を使うのか?とかが悩みの種になるわけです。僕は昔Surgeon(*1)のように元の素材を気にも留めず自分の色が溢れるリミックスを作ったらオリジナルのアーティストに、素材が聴こえないからやり直し!とやり直しを迫られた事がありました。(良く考えたらそらそーなるわ)

(*1)昔SurgeonがHardfloorのリミックスした後にオリジナルパーツは使って無かった・・という衝撃の告白をしていました。さすがにSurgeonほどの大物でなければ許されないリミックスですな。

 

これまでたぶん100件くらい、色々な方々のリミックスをやったり、リミックスをお願いしたり、リミックスの仲介をやってきた中で、リミックスのパーツのやり取りでアーティストによってやり方が全然違って、やりやすかったり、そうでない事があったりしました。沢山のリミックスパーツを見てきて、何となく世界の業界標準のようなものが見えてきました。他のアーティストさんとの話でも話題になる事があったので、僕が一番リミックスがやりやすいと思う方法を書きます。

 

リミックスパーツのパックを作る7つの鉄則

 

①各チャンネルごとに書き出す

リズム全体をまとめただけのモノや、音が重なった上モノをひとくくりにされると素材として扱いづらいので、各チャンネルごとにファイルを書き出します。マスターに挿したリミッターやコンプは外して書き出します。

 

②短く書き出す

テクノは繰り返しが多い音楽なので、スタートからエンドまでの全部分のパーツは必要ありません。8小節とか16小節とか32小節とか短く書き出してくれると扱いやすい。

フレーズが変化したりする長尺のものは小分けにしてもらえると自由度が増します。

海外のアーティストに多いのですが、各チャンネルをフル尺で書き出して20本とか詰めたパックにされることがあります。容量が重すぎるのと、使う部分を切り出すのが大変なのです。

 

③空間系エフェクトは外す

ディレイやリバーブがかかったままだと音の継ぎ目の処理に手間がかかったり、不自然になってしまうので空間系のエフェクトは外します。EQやディストーションやなど音の質感に関わる部分は外してしまうと別の音になってしまうので外しません。

場合によってはエフェクトありVerと、エフェクト無しVerを用意すると物凄く助かります。特に声とか歌の部分だと、両方用意する事が多いみたいです。

 

④名前は分かりやすいものにする

ファイル名が「1」、「2」とか「drum1」、「drum2」とかだと音が分かりません。「Chord_F」とか「Bass_Line」、「Main_Melody」など中身の音が想像できる名前にしてもらえると作業が進みやすいです。

 

⑤パーツを絞る

ほんの少ししか聴こえないハイハットの音や、キックの音はリミックスに必要ない場合が多くあります。メインになっている音やフレーズ、アクセントとなっている各リズム、FXなどを中心に10~15程度の素材があれば十分なことがほとんどです。細かい音まで書き出してやり取りをすると互いに無駄に時間がかかる場合があるので、軽く打ち合わせてからやり取りをするとベストです。

 

⑥リミックスパックの中にオリジナル曲も入れる

オリジナルを既に送付済みであってもリミックスのパーツと一緒にオリジナル曲を入れます。既にWAVを送信済みであればmp3(320k)でも構わないと思います。同じパックに入れてもらうとファイルが迷子にならず、作業や音圧の差等の確認がしやすくなって助かるのです。オリジナル曲はアーティス名と曲名を入れたファイル名がベスト!。

コレ結構大事かも。

 

⑦パーツはWAVで準備してZIPでやりとり

各パーツは基本WAVで用意します。

パーツを一つのフォルダーにいれてZIP形式に圧縮して、オンラインストレージ経由でやり取りをするのが常です。

ファイル名は英語で半角のアルファベットにします。スペースや記号はエラー防止のため使わないようにします。スペースの代わりにアンダーバーを入れます。

ArtistName_Title_RemixParts.zipのような感じに。

 

さいごに

ほかにもBPMやスケールの情報を入れたパーツを送ってくれた親切なアーティストさんもいました。

このような部分を抑えておけば、スムーズなリミックスパーツのやり取りができてお互い気持ち良く制作に向かえます。

コレが必ず正解!という訳では無いのでしっかりとコミュニケーションを取って信頼を築く事も大切です。

 

リミックスパーツを覗くと新たな発見をする事があります。こんな音の重ね方してたのか!とか、こんなに低音部分を削ってたのか!とか、他のアーティストの制作方法をしる機会にもなるかもしれません。

 

チャンスがあれば、お気に入りのアーティストにリミックスさせて!と頼んでみるのも良いかもしれません。以前にFacebookで繋がりのある海外のアーティストに「俺リミックスやるぜ!どう?」って頼んでみたらアッサリ決まった事がありました。海外のアーティストさんはグイグイ自己アピールをして来ますので、我々日本人もグイグイ攻めていきまっしょい!

 

では!