DJWarpの音楽の旅

テクノやDTM,DJ,Apple Musicなど音楽のアウトプット

テクノの聴き方を掘り下げる②

前回は四つ打ちのテクノを「裏」でリズムに乗る事でグルーヴを強く感じることができる事を書きました。

djwarp.hatenablog.com

 

今回も引き続きテクノの聴き方を考えていきます。

普通に聴けばイイじゃん!って思うかもしれませんが、テクノはとても機能的な音楽の側面を持っていて、クラブで大音量でDJがプレイしお客さんが踊る事を前提に作られている曲がほとんどです。そのツボを押さえて聴く事で楽しみ方が増えていくのがテクノの面白さの一つなのです。

今回のテーマを頭に入れてテクノを聞くと楽しさ倍増しますぜ!

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今回のテーマは

②DJミックスを楽しむ!

 

当たりまえやん!って話しですが、DJがMixする事を前提に作られている音楽なので、DJがプレイして初めてその機能的な作りが活きてきます。

 

そもそも何でMixするのか?

それはプレイしている曲を止める事なくグルーヴを維持したまま次の曲に移る事を繰り返す事で大きな流れを作り、ストーリー性のある音楽の流れを作ったり、ひたすらDEEPな世界に引き込んだりする為です。

YouTubeで動画みてたら途中で広告入ることあってイラッってしますよね。流れを断ち切らないということはとても大切なんです。

曲の速さ(BPM)が曲ごとに変わると踊りにくいし、流れが変わってしまうので曲の速さを揃えてプレイするのもMixの目的の一つです。

まるで素材の組み合わせによって料理を作っていく様な感覚です。

DJによって薄味が好みであったり、濃い味のメインデッシュ多めだったり、箸休めの小料理があったりと多種多様な世界観を生み出す事ができるのが、DJ Mixの面白さなのです。

 

テクノの1曲1曲はMixにおける素材の様な要素を持っています。

Mixされる事を前提に作っているのでほとんどのテクノは序盤と終盤はMixしやすいようにリズム隊メインで作られています。序盤や終盤は別の曲と混ざっている時間なので急展開や変なブレイクは殆ど無いようにできています。

Mixされることで曲の面白みが増すのですが、Mixには曲と曲の繋ぎの部分を楽しむミクロな視点と、何曲もMixする事でDJがコントロールしようとしている大きな流れを楽しむというマクロな視点、の2つの面白さがあります。

 

②-1 Mixの繋ぎ目を楽しむ!

ジャンルやDJによって1曲のプレイ時間が全然違いますが、ココでは2曲のテクノをジワジワMixする話をします。(EDMとかだと1分位でポンポンMixするみたいですし、Deep Houseだと何分もかけてゆっくりMixするロングミックスも珍しくありません。)

 

四つ打ちのテクノは一曲大体6分〜8分位の尺でできています。それをどんどん繋いで行くので実質一曲あたり3〜5分位がプレイされている時間になります。

Mixは4小節から32小節くらいかけて行われる事が多いですが、気持ちのいいMixは8小節、16小節、32小節の物ですね。ロングミックスだと64小節Mixしっぱなしって事もあります。

1小節とはザックリ言うと、4つ打ちの曲でバスドラムが「ドン!ドン!ドン!ドン!」って4回なる間を指します。

 

ゆっくり音が混ざりながら、アレ?いつの間に変わったの?って具合にナチュラルにMixだと踊っていてもとても楽しくて、どんどん気持ちよくなってきますよね。

最近はデジタルDJがほとんどなので、下手なアナログDJがよくやるバスドラムがズレて「ドドん!ドドん!」って汚くMixされているのを聴く事は少なくなりましたが、リズムがズレてしまうと、それまで積み上げてきた物が一気に崩れてまた最初からグルーヴの積み直しになっちゃうので、リズムが崩れない事はとても大切な事なんです。

 

テクノではバスドラムが曲の主導権を握っています。例えるならバスドラムがご飯で上物の音はオカズみたいな感じ。ブレイクに入るとバスドラム(ご飯)が抜けてオカズばっかになって、あーご飯が欲しい!あーー!ご飯が欲しーーーっ!ってなってからの、ドーン!ってバスドラムが入ってくると、ご飯キターー!ってなって盛り上がるんです。

 

Mixにおいて曲が入れ替わる瞬間とはバスドラムが入れ替わる瞬間でもあります。

主導権を次の曲に受け渡すのはバスドラムが入れ替わる事で確実なものになります。

 曲のMixはほとんどが高音から混ぜていきますので、Mixが始まるとハイハットなど高い音が重なってフランジした状態に聞こえてきます。

 ジワジワと高音と中音がミックスされて、最後に低音のバスドラムが入れ替わると曲の主導権がMixされた新たな曲へと移っていきます。

上手いDJは4小説とか8小節のタイミングに合わせて音を混ぜたり、音を大きくしたりして、あたかも曲の展開のようにナチュラルにMixします。

Mix部分では思い切りの良し悪しや楽曲の理解度が垣間見えます。

あ!Mixが始まったかな?と思ったらどのように曲の主導権(バスドラム)を移すのかに注目していくとそのDJの個性が感じられてMix聴くのがとても楽しくなりますぜ!

バスドラムの入れ替えはMixにとってとても重要な場面の一つです。せーのっ!でドン!と入れ替えたりジワァ〜っと入れ替えたり音が抜けるタイミングに合わせて入れ替えたり曲や場面やDJの好みでやり方が違うので是非注目してみて下さい!

「あー、このDJは繊細にMixするから細かい性格なのかな?」とか、「大雑把だけど勢いよくMixしてるから、迷わず決断力と実行力があるタイプなのかな?」と性格を妄想するのもオススメ!何故か女性DJの方が男らしく、バッサリ前の曲を切ってタイトで小気味良いMixをする方が多い気がします。

前の曲を切るに切れなくて、変なタイミングでフェードアウトするような女々しいMixは男の人に多い(全体の数が男の人が多いので当然ですが)気がしますね。女々しいぞ!男どもめ!

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②-2 Mixの流れを楽しむ!

Mixの瞬間を楽しめるようになったら全体の流れに目を向けて行きます。

ずーっと同じテンションで曲が流れるだけでは楽しくないので、DJは意図的に流れを作ります。お客さんの反応を見て方向性を見極めて「もー少し引っ張るか」とか「ちょいとサゲて展開作るか」とか考えて選曲をしていきます。

DJはストーリーのあるプレイを目指しているはずので、聴く側としてはその意図を推し測る事ができます。

何故DJは次の曲にコレを選んだのか!?

何を考えているのか!?

を考えてみるのも面白いです。

テクノDJの田中フミヤさんの頭の中をわかるようにしたDVDが発売されていて、コチラでチラリと見れます。彼が何を意図して選曲しているかが解ります。メッチャ面白いです!

youtu.be

 

DJは意図的にサゲたり、アゲたり、色を変えてみたり、キープしてみたりと基本お客さんの反応を見ながら展開を作っていきます。

ハードな曲に注目が集まり易いですが、アゲっぱなしでは単調で飽きてしまいます。必ずサゲて行く場面も出てくるのですが、どの位サゲていくのか!?ゆーっくり落とす人もいれば、急にサゲて急速にクールダウンさせる人もいてDJのセンスの見せ所でもあります。

「あ!サゲに入ったな!」と解ると、流れを作ろうとしている意図が垣間見えて「なるほど、フロアの温度を落とす気だな!さて、では次の一手はどうきますかな!?」とDJの心理を妄想しながら踊るのも楽しいよ!(本当はそんなこと考えずに頭カラッポで踊るのが一番気持ち良いんだけどね)

流れが変わる瞬間も見逃せません!ミニマルから急にパーカーッシブな音数の多い曲に変わったとか、ハウスっぽい曲からプログレっぽい曲に変わったとか分かりやすい方向転換もあれば、流れのスムーズさを重視して少しずつ角度を変えていくやり方など、DJの個性や局面で色々な選択肢があるので十人十色の流れを楽しめる訳です。

歌物ハウスのDJなら歌の歌詞繋がりだったり、意味繋がりでプレイを進めたりとジャンルによって選曲の切り口も変わるのが面白い所でもあります。

 

Mixを楽しむのは、テクノに限らずダンスミュージック全てに当てはまりますが、特にテクノには「ひたすら音が繰り返され踊る」部分に特化していて1曲1曲をパーツと捉えてプレイしていけるので、Mixによって生み出される小さな変化やうねりを大きく捉えて楽しむ事ができるんですよね。

シンプルな繰り返しの中、Mixによって生まれるグルーヴに神経を研ぎ澄ませていくと内側から溢れ出るような気持ち良さを感じる事ができますぜ!

 

まとめ

野球を単に「実力のぶつかり合い」と見るよりも「頭脳戦」の側面がある事を知っていて見るほうがより野球を楽しめるように、テクノも聴き方の切り口を増やすと楽しさが倍増するんです☆

 とはいえ、そもそもテクノは余計な物を無くしてシンプルに「気持ち良さ」を追求してきた音楽です。難しい事をグダグダ考えなくでも繰り返されるリズムに身をまかせればそれで十分!頭カラッポが一番楽しいしね!

特に大きな音で低音の振動を身体に感じて聴くと、遺伝子に刻まれた衝動が目を覚ますことでしょう。

よし!クラブへ行こう!

テクノの聴き方を掘り下げる①

テクノ大好き~!

テクノといっても種類が沢山ありますが、ここでは4つ打ちのクラブミュージックのテクノの話をしたいと思います。

テクノはひたすらドンチードンチーの繰り返し。

この繰り返しが高揚感であったり浮遊感を与えてくれます。

テクノは踊るにも良し!ドライブで聴くも良し!仕事や作業しながら聴くにも良し!

うん!テクノ最高!

 

普通に聴いていても楽しいテクノですが、切り口を変えて聴くと違った楽しさも見えてきますので、いくつか紹介していきます。

ポケモンgoで忙しいので今日は①だけ!

 

①ウラで踊る!

テクノを聴いて踊る時に殆どの人はバスドラムの「ドンッ」って音に合わせて踊っていると思います。「ドンッ・ドンッ・ドンッ・ドンッ」って音に合わせて身体や首を動かして踊ったりノったりしますよね。

以前クラブでフロアの後ろの方から踊っている人をぼーっと眺めていたら、ある外国人だけ皆と違う感じで踊っている事に気が付きました。

よく観察するとその人は「ドンッ」のバスドラムではなく、「ドンッ」と「ドンッ」の間になっているハイハットの「チー」という音に合わせて踊っている事に気が付きました。

いわゆるウラ拍ですね。

「ドンチードンチー」の「チー」の部分に合わせて踊っていたのです。

僕もやってみました!「チー」に合わせて踊ってみると・・「何だコレ!!全然違う!!」

驚きました!!!

同じ四つ打ちの曲なのに、ウラで踊るとハイハットに合わせて踊る事になるので、特にハイハットが跳ねてる(スイングがかかっている)曲は感じるグルーヴ感が体感で2倍ほど違います!(当社比)

ディープハウスやテックハウスなどでは極端にハネてるハイハットが入ってたりするので面白さが倍増します。

ハイハットの細かな強弱の差や音のスキマの差に気がつくと更に楽しさ倍増!

 

ウラ拍で踊ると曲のグルーヴを全開に感じる事が出来るので、クラブで是非試してください!「ドンチー・ドンチー」の「チー」の部分に合わせてリズムを取るだけ。身体が慣れるまではぎこちないですが、慣れると調楽しい!

ヘタなDJがプレイしていてもアラ不思議!ウラで踊ると曲の良さが2倍に引き出されて楽しくなります!

フロアでぼーっとスマホ眺めてるつまらなさそうな人に教えてあげてください。

ウラで踊ると些細なハイハットの変化やタメがダイレクトに感じられてジワジワと身体の内側から気持ち良くなるようなグルーヴを感じる事ができます。

 

更にウラのハイハットの音が16分で2回の場合、つまり「ドンチチ・ドンチチ」と聴こえる「チチ」の部分です。この「チチ」と2回なっているハイハットが入っているテクノがあったら「チチ」の音の「チとチ」の間のスキマに注目して下さい!

音の間のスキマなので時間で言うと本当に0.0何秒の細かな差なのですが、とても大切なんです!

2回目の「チ」の音を少し遅らせる事でとてもグルーヴィーになるのでこのスキマに注目して踊るとさらに楽しく踊れます!

「チチ」は素晴らしいぞ!

 

さらに腕の立つウラ拍の気持ち良さを熟知している素敵なDJであれば、飽きないよう裏の音をEQやフィルターで細かく変化をさせてくれたりします。ウラで踊るとこの小さな変化が大きな変化に感じられてとても気持ちがイイんです!

 

ウラ拍で踊る事ができれば音楽も楽しくなって、沢山踊ってカロリーも消費して良い事ずくめ!(すぐにビールが飲みたくなるけどね!)

さぁ!クラブへ行こう!

 

外国人から学ぶ押しの強さ

テクノを通じて海外の人とやりとりしてると「コイツ押しが強いな」って感じる事が多くあります。

これまでの経験において日本人と外国人のテクノアーティストの間に特に違いを感じるのは「押し」の強さです。1億2千万人の国民性を一言で語る事など出来ないのは承知の上ですが、多くの日本人に比べて外国人の方が押しが強いのは確かです。

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僕は海外や日本のテクノアーティストからデモを受け取って、良い曲はリリースに向けてアレコレとアドバイスをしたり、リミキサーの手配をしたり、マスタリングをしたりと動き回ることがあります。(ほとんどおせっかいですけど。。)

僕自身も海外のレーベルにデモを送ったり、MIXの提供をしたりと世界中の様々な人たちとコミュニケーションを取ってきた中で強く感じるのが外国人の「押しの強さ」です。

 

①自信を持って自分を売る

海外のアーティストはグイグイ自分をプッシュして来ます。

「ホラできたそ!ホレ!新しい曲だ、リリースしたいだろ?」ってな具合に自信満々に自分の曲を披露します。

「自信は無いのですが・・もし気にいって頂ければ、こちらのレーベルからリリースさせて頂けると嬉しいのですが・・」なんて感じで送ってくるアーティストはいません。我々も彼らのように自信を持って堂々と自分の曲をプッシュしていきましょう!

正直、自信がなさそうに自社の製品を売る営業マンは失格ですよね。

自信を持って自分の良いところを売り込みましょう。

 

②意外と謙虚。提案も忘れない。

しかし、自信を持って曲を送ってきても曲のクオリティが満たない場合は僕はしっかりとネガティブな意見を伝えます。

さぞ自信がある様であったから傷つきはしないだろうか・・なんて思ってた事もありましたが、ほとんどのアーティストは驚くほど前向きで謙虚です。「OK!フィードバックありがとう!またレーベルの音に近いテクノが出来たら送るぜ!」と何度でもチャレンジしてきます。

しかも、「この曲とあの曲に☆☆(超大物アーティスト)のリミックス足して3曲入りでEPにしたらカッコいいEPになるんだけど!」のようにグイグイ提案をしてくるので、気をつけなければついつい相手のペースに飲みこまれてしまいます。

 

③自分で自分のチャンスを広げる

海外から日本でDJをしたいから呼んでくれというメッセージも良く受けます。

「僕は東京に住んでないんだ」と返信すると殆どが音沙汰なくなりますが(笑)

いずれにせよ、海外から「日本が好きで好きでたまらないんだ、日本でプレイするのが夢なんだ!」とDJMIXのリンク付きで猛アピールをされても悪い気はしません。もしタイミングや条件が合えば誰かに紹介してあげたいと思う事もあります。

チャンスを広げたければ自分から動け!って事ですね!だって猛アピールが失敗したって仕事を失う訳でもなし、たいしたデメリットもないんですから。

 

日本のテクノアーティストもガンガン強い押しで海外に飛び込んでいきましょう!それに別に海外に!って訳でなくても国内にも素敵なテクノレーベルが沢山あります。やり方一つで負けてしまいたくなんかは無い。作ったら遠慮なくデモを送り続けよう!

 

参考までに以前の記事を。

djwarp.hatenablog.com

 

④セルフプロモーションが上手

もうひとつ一番の違いを感じる事は、海外のアーティストの”レーベルからのリリースはあくまで「手段」にすぎない”という感覚かもしれません。自分のリリースは自分でリリースしたいレーベルを決めるし、プロモーションもレーベル頼みではなく自分でもしっかり行うというスタンスのアーティストが多いように感じます。

特にプロモーションに関しては、日本、海外問わず、しっかり自分で自分をプロモーションをしているアーティストは着実にステップアップをしている様に思います。

テクノはBeatportで毎日数百曲がリリースされています。そんな中で自分の曲が何もせずに目立つ訳もありません。しっかりと「予告」「告知」「ストーリー」などを織り交ぜてプロモーションを行っているアーティストの方が多くの人の耳に届く可能性があることは言わずもがなですね。

実際に積極的にSNSでの告知をしているアーティストのリリースは成功を収めた事がありました。

 

⑤フランクにお願をする

「え?君は。。誰だっけ?」みたいな人から、かしこまった挨拶や定型文など無しにいきなり「ハロー!リミックスやってみない?」みたいなメッセージを受ける事があります。

知り合いとも呼べないような繋がりなのにイキナリこちらの懐に飛び込んでくる潔さ!友達の友達はみなトモダチ!と言わんばかり!

こんなに気軽にお願いをされると僕は・・100%受けます(笑)

テクノを愛する者としてあくまでもフラットな関係で気軽にお願いできる世界って、ああ素晴らしい!と思います。

まぁ、だいたいそんな奴はいつリリースするかも知らせないままいつの間にかリリースされてた・・ってな事になってる事が多いんですけどね。憎めません。

 

 

このように外国人の押しの強さは、僕らも見習うべきものがあります。

 

僕はテクノを作り始めた時は公開などに消極的でしたが、別に仕事でもないし失敗してもいっかーと開き直って外国人の押しを真似てグイグイ「押し」を意識してやってたら世界が一気に広がりました。

いくつかのタイプの「押し」がありますが、ただ単純に外国人のマネをすればいいって訳ではありません。日本人の繊細さと、この押しの強さの両方を使い分ければチャンスは必ず広がります!

 

さぁ攻めよう日本のテクノ。